譲受サイドのM&A(Mergers and Acquisitions、合併・買収)プロセスは、ケースバイケースでカスタマイズされるものではあるが、一般的に以下のようなステップで進められる。
M&A戦略の検討 自社の中長期で目指すべき姿は何か、その中でなぜM&Aを行うのか、M&Aを実施する必要があるとすれば、ターゲットとなる業種・地域・規模等はどうか等を検討する。
対象企業の選定 買収の対象となる企業を選定する。事業内容、展開地域、財務、業績に始まり、対象会社の強みや課題等の分析を進めていき、M&Aの対象となる企業を絞り込んでいく。
交渉と提案 選定した企業に対して、アプローチを開始する。そもそも譲渡の意思があるのか、あるとすれば、どのような相手、条件であれば交渉の土台に乗って頂けるのかを提案を交えながら確認していく。
意向表明(基本合意) 3.で概ね交渉がまとまった場合は、書面という形で諸条件を整理し、その内容について両社間で意識合わせをする場合が多い。
デューデリジェンス(買収監査) 譲受サイドが、対象企業の詳細な情報を調査するプロセス。ビジネス、財務、法務、労務、環境、IT等の側面から対象会社の情報をヒアリング等も交えながら調査し、リスクや成長機会を確認していく。
最終契約の締結 デューデリジェンスを経て、諸条件の交渉が合意に達した場合、最終契約を締結する。
クロージング手続き・決済 M&Aの実行に必要な各種手続きや申請等を遂行していき、特に問題が生じなかった場合は決済となる。
PMI計画の策定・実施 M&A後の統合計画を策定・実施する。組織文化の調和、業務プロセスの統合、人材の配置などが含まれる。
買収後のモニタリング M&A後、当初期待していた業績やシナジーが得られているか等をモニタリングし、評価する。必要に応じて統合戦略を調整、見直しする。
M&Aプロセスは、企業の状況や目的に応じて異なるステップやアプローチを取ることがあるものの、いずれにしてもビジネス、財務、法務、労務、IT等多面的な検討が必要になることに加えて、関係当事者も多く、それらをまとめるM&A専門家のサポートを受けることが一般的となる。